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ビル・エモット元編集長

ビル・エモット元編集長

ビル・エモット氏は、1993年から2006年までThe Economistの編集長を務めた人物。
任期中に発行部数を倍にしました(50万部から100万部へ)。

東京支局勤務を2度務めており、編集長時代も日本への注目は続いていました。
『日はまた沈む』『日はまた昇る』などのベストセラーを記したことでも知られます。
引退後して独立した後も日本への関心は衰えることなく、2008年6月には『アジア三国志』を上梓するなど、活発に活動を続けています。今後も、エモット氏の言論には耳を傾ける価値があるでしょう。

<略歴>

1956年:ロンドンに生まれる
1980年:オックスフォード大学卒業にThe Economist入社。
1983年:ブリュッセル支局を経て東京支局長。
1989年:『日はまた沈む ジャパン・パワーの限界』出版
2006年:The Economistを引退、独立。『日はまた昇る』出版。
2008年:『アジア三国志 中国・インド・日本の大戦略』出版

現在:日米欧委員会役員、日英21世紀委員会ディレクター、スイス・リー再保険会社アドバイザリーパネル役員、BBCコンサルタント。

日経ビジネス:「日本は内需の拡大を」

2008年6月16日号の『日経ビジネス』に、ビル・エモット氏のインタビューが掲載されています。

要点は以下の通り。

(1)新興国はインフレ対策をせよ

今の経済問題は、貿易黒字国(日中含むアジア、湾岸諸国)が米国債に投資して米国に資金を還流させ、ついに信用バブルがはじけたことに始まる。黒字国の過剰なマネーサプライが世界のインフレを引き起こしている。中国ではインフレが年率8.5%にも達している。

よって新興国、つまり中印露やサウジアラビアなどが通貨の切り上げなどによってインフレ対策をする必要がある。もしこの対策を怠れば、政治問題が浮上するだろう。

(2)サミットに新興国を加えよ

既にG8は機能していない。インフレ問題を協議するには、南アフリカ・インド・中国・サウジアラビア・ブラジルを加えて「G13」とする案もある。また、イタリアやカナダなどの経済規模の小さな国には退場をお願いしてもよい。ただ、基本的にインフレ対策は国内問題であるため、国際会議での解決は難しい側面もある。

中国はインフレにナーバスだが、大幅な政策変更にも非常にナーバスであるため、今年中の政策変更は難しい。北京オリンピック後に変更することも考えられたが、四川大地震が起こった今となっては可能性が低い。

(3)日本は経済システムを軟化し、内需を拡大せよ

日本は2つの問題を抱えている。
1つは、経済システムが硬直化しているため、イノベーションが具現化するのに時間がかかりすぎること。
もう1つは、国内の需要が弱いこと。パートタイムが増えるとお金が企業に移動してしまう。全労働者を包含する方を設け、さらに最低賃金を大幅に引き上げる必要がある。

日経記事:軍拡とインフレの制御が肝要

2008年6月7日の日本経済新聞に、ビル・エモット氏のインタビューが掲載されました。

要点は以下の通り。

Q:中国・インド・日本の関係をどう見るか

A:政治的な利害対立と、軍事的な緊張感が増している。

日本だけが突出していた時代とは変わり、アジアではこの三国のバランスが重要になる。中国・インドが軍事増強を進める中で、宇宙基本法に見られるように日本も防衛対策を強化し始めた。三国の利害対立と緊張関係を制御しなければ軍拡に歯止めがかからなくなり、紛争の種になる。

Q:今後、どうなっていくとみるか。

A:欧州の歴史でも見られるように、緊張さえ制御できれば三国の生活水準は向上する。


中国は、環境汚染、通貨問題、高インフレなど、かつての日本が抱えた問題から学べることが多い。また、中国の企業は今後、ブランド力を強化して世界のトップ企業にランクインすることだろう。インドも同様だ。

Q:現在の世界で最大の問題は何か

A:インフレだ。


信用収縮と根源は同じだ。問題はアジア新興国や産油国などの経常黒字国の貯蓄拡大にある。米国の住宅バブルは黒字国からのマネーが大量に流入した影響が大きい。需要を上回る過剰流動性で与信金利が過度に下がり、信用バブルが膨らんだあげく破裂した。
さらに、資源市場に流れたマネーで商品相場も高騰した。

アジア新興国や湾岸産油国はマネーが膨らんでも低金利を維持するためインフレが起こる。中国は人民元を管理してもインフレは後回し。湾岸諸国は自国通貨を米ドルに連動させているので国内インフレとは無関係に米国の金利を追随する。この半年、米国が金融緩和を続けたため、湾岸諸国は国内が超インフレなのに金利を下げて事態を悪化させた。

Q:新興国はどうすべきか

A:為替政策を変更すべきだ。


ただし日本のニクソン・ショックの時と異なり、現在は中国や湾岸諸国側に選択権がある。時間がかかるだろう。

Q:世界経済の問題克服にどれくらい時間がかかるか

5年はかかるだろう。

新興国の政策転換時期も重要だ。
食糧インフレは2年以内に沈静化するだろう。主因は過剰流動性とバイオ燃料への補助金だからだ。