【号外】安倍首相、辞任の意を表明
安倍首相が退陣の意を表明しました。
他のメディアからは一歩(5時間ほど)遅れたものの、The Economistも号外的にトップニュースとして本件を扱っています。
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他のニュースメディアと比べて、記事の中での小沢氏の出現率が高いのが特徴的でした。
また、年金記録問題は安倍氏の責任だといわんばかりの論調ではありますが、この発端は安倍氏にあるわけではないので、読者に誤解を与えてしまいそうな雰囲気ではあります。
いつも通り、冷静に分析している記事だと考えられます。
以下に記事の翻訳を載せます。
【日本語訳】
不可避だったとはいえ、驚くべきタイミングで安倍信三は首相の座を降りることを表明した。9月12日、ちょうど着任して1年ほどである。戦後の有名な首相の孫であり、外務相の子である安倍は、首相になるべくしてなった。母親からは総裁になるように強く勧められたが、自民党の役人たちは時期尚早だと助言した。「役人のアドバイスに従っていればよかった」と安倍は今頃悔やんでいるかもしれない。結果的に、安倍の時代は極めて厳しいものとなった。
出だしは好調であった。安倍は若く、戦後に生まれた最初の首相でもあった。小泉という、国民を「改革」という言葉でくらませてきた首相からの庇護もあった。小泉は衆院選挙で地すべり的な勝利をしており、郵政民営化をはじめとした改革を強力に推し進めてきた。小泉のおかげで自民党は衆議院での絶対安定多数を維持しており、その恩恵を安倍は受けていた。日本経済も、長いスランプから回復しているように見えた。当初、安倍政権は圧倒的な人気を誇っていた。
しかしすぐに潮は引いていってしまった。確かに、安倍は中国との交流を再開し、小泉時代には閉ざされていたチャネルを回復した。同時に、安倍は内閣の汚職と無力さを是正することができなかった。さらに悪いことに、彼は政治的な空気を読むのが苦手だった。有権者(特に地方の人や老人)は結局のところ、財政の引き締めや構造改革など「痛み」を伴う政治には乗り気でなかったのである。安倍は国内問題には関心が薄かったため、国民を安心させることができなかった。年金記録の5000万件の紛失は、彼がいかに実態を把握していないかを見せ付けた。
7月末、有権者は参議院の選挙で政権を大敗させた。戦後初めて、自民党は参議院での安定多数を野党に譲ることとなった。自民党の幹部はすぐに安倍の辞任を求めた。安倍が続投できたのは、自民党の混乱の表れでしかない。8月27日には内閣が再編成され、安倍の幼いチームは有力団体になっていた。
評論家の多くは、これによって安倍は時間稼ぎができると見た。しかし民主党党首の小沢は、14年前からの公約である「自民党をぶっこわす」という公約に従い、安倍を政権から引きずり下ろすと主張していた。自民党を、解散と総選挙に追い込むつもりなのである。小沢が挙げたのはテロ対策特別法案であり、これはアメリカがアフガンへの軍展開のための燃料補給を正当化する法であり、同時にイラク対策も支援できるものである。11月1日に期限が切れるこの法律は、日本のプレゼンスを重要視する安倍にとって重要な法案であり、日本の安全保障の基盤であるアメリカと戸の同盟を確認するものである。安倍とその側近によれば、インド洋から自衛隊を撤退させることは、日本の国際社会の立ち居地に危機的なインパクトをもたらすとしている。
それがどうした、と小沢は言う。小沢は、インド洋への派遣自体がそもそも憲法の集団的自衛権非行使に違反するものだとする。また、あらゆる日本のプレゼンスは国連の付託を得ていなければならないとしている。何より、小沢は戦略的である。彼は自陣で安倍を攻撃している。つまり、参議院においていかなる法案延長も認めないとしたのだ。安倍は小沢の立場を到底容認できるものではないとした。折衷点を探ることを拒否しているからである。
実際には、安倍は自らの信用を自らの党により失った。自民党は現在、次の総裁を迅速に決定しようとする段階にある。総裁とはつまり、衆議院での安定多数により、首相と同義である。選挙は19日に行われる。最も有力なのは麻生太郎である。彼は小泉時代も安倍時代も外務相を務めており、過去数週間は幹事長を務めた。自信過剰な雰囲気と世俗的な冗談をとばすこの人物は、小さな派閥を形成しており、場合によってはその「派閥」は今後巨大なものとなるだろう。首相の座が「おいしい」ものであると保証されればの話ではあるが。
しかし一部の党員は、このような密室決議こそ国民が最も嫌うものだとする。彼らは小泉型の改革派を推薦するかもしれない。もしくは、麻生は安倍と同様にネオコン的な思想を持っているため、国の前面に出るのはふさわしくないと判断する可能性も高い。その場合には穏健派の人物が推薦されるだろう。しかし誰が選ばれても、小沢と対決することになる。彼は公約通り首相を引き摺り下ろしたが、自民党への総選挙の要求はやめてはいない。それも時間の問題である。
【英語表現】
・Out goes Abe:「安倍、脱落」。強調かつ否定的な意味を持った outが前に出ているので、その後の文が倒置されています。
・True,…:確かに、…
・have a tin ear for :〜に音痴である。空気が読めない。
・bide one’s time チャンスを待つ
・heavyweight :幹部、有力者
・in truth, :実際には、
・tenable:容認できる
・put forward :推薦する
・back-room dealing:秘密裏での取引