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今週のThe Economistより  ]

2007.08.29 Googleが変える世界、そして孕む問題

今週のカバーストーリーはGoogle
「我々は世界を変える」との宣言どおり、本当にGoogleは世界を変えつつあります。

企業としての魅力も抜群で、アメリカのMBA取得者が就職したい企業の第一位に今年初めて輝きました。
これまで何十年も一位はマッキンゼーだったことを考えると、いかにGoogleが破壊的な影響力を持っているかがわかります。

それだけに、魅力とともに不安なところもあります。
強大な力を持っているがゆえに、その力を濫用すれば悲惨な事態となります。
たとえば、 "Google八分"と言われる事態が存在します。
不正に検索結果を向上させる操作を行ったとして、Googleがそのサイトを今後表示しないようにできるのです。
しかし「どのように不正と判断したのか」という部分に透明性がないため、中には何も不正なことをしていないのに検索結果からはずされてしまい、大損害を被っているサイト運営者もいます。
これはGoogle Adsenseなどでも同様です。

「世界を変える」ほどのインパクトを自称するならば、それだけに透明性も求められるところです。

以下、Leadersを要約します。

【日本語訳】
Googleほど、様々な分野でこれほどまでに速いスピードで成長した会社はない。どのような指標を使ってもそれが事実だとわかる。時価総額、収益、サイト使用数、広告主の数、そして弁護士とロビイストの数。

このような急成長には不安要素もつきまとう。Googleを嫌悪したり恐れたりする組織も増えているのだ。テレビ業界、出版業界、新聞業界などは、Googleがタダで自分たちのコンテンツを利用していると不満を抱く。AT&Tを初めとしたテレコム業界も、Googleは自分たちの放送媒体をタダ乗りしていると感じている。多くの中小企業も、Googleが検索エンジンのアルゴリズムを変更してからは自分たちのサイトが全く上位に来なくなったと怒りをあらわにする。

 政治家はどうか?リバタリアンはGoogleが中国政府と手を組んだことを快く思わない。保守派はビデオクリップが検閲され得ないことに不満を抱く。しかしもっと大きな問題は、ユーザーのプライバシーである。Googleのビジネスモデルは、人々がGoogleを信用して『クラウド』と呼ばれる巨大データバンクに人々の生活情報が記録されることを認めていることを前提としている。これらのデータは、ユーザーが過去に何を検索したか、どの広告をクリックしたかまで広範にわたる。もっと言うと、e-mailの内容や、スケジュール、文書、簿記表、写真やビデオまで全て把握している。そのうち、医療情報や、GPSを使用したユーザーのピンポイント位置情報にまで手を出すかもしれない。

 Googleはマイクロソフトと対比されることが多い。しかしその進化の様子は金融業界に近い。かつて金融業が人々のプライベートなお金を貯蔵・管理するようになったのと同様、Googleはさらに広いプライベートな情報を貯蔵・管理するようになったのだ。確かにそれはYahooやマイクロソフトも同様である。しかしGoogleが人々の情報を集めるその速度は、社会が耐えうる速度を超えてしまい得るほどのものなのである。

 必ずしもGoogleが尊大であるというわけではない。Googleへの批判は負け惜しみであることが多いのも確かだ。しかしGoogleの自信過剰なまでの自己神聖視は、多くの人々をうんざりさせているのも事実である。Googleは、「悪いことはしない」という社是を掲げ、「最終目標は金を稼ぐことではなくて世界を変えることである」と公言している。

 Googleを取り巻く状況は不透明である。公の議論としては、「どのようにGoogleを規制するか」という問題がある。プライベートからは、Googleが目論む次の企みにいかに対処するかという問題が出てくる。どちらの議論を見ても、Googleは社是とは逆に「お金の奪取を狙う悪い会社」と同じである。

 そもそも、会社というものが社会に貢献できる主たる要因は利益をあげることである。利益を分配することではない。Googleはまさに好例である。Googleの「善意」は利他主義ではなく、アダムスミスの「見えざる手」を根拠にしている。そのサービスは、多くの人が便利だと思うこと、つまり無料で情報が検索でき、広告を効率よく乗せることである。

 だとすれば、挙証責任はGoogleを訴える側にある。Googleは何か悪いことをしているのか?反トラスト法に則っても、広告主に対する手数料はオークションで決まるので、独占禁止に引っかかるとは思えない。マイクロソフトがしたように、自社の独占性を利用して他者を喰うようなこともまだしていない。著作権に関しても同様である。Google Book Searchは、出版社への脅威というより助けになるはずである。埋もれた著作を読者に読んでもらうことができるからだ。プライバシーも現在のところユーザーの信頼を裏切ってはいない。もしあったとしても、国民の詮索好きな中国政府やアメリカ政府よりはマシである。

 とはいうものの、利害の衝突は避けられない。ユーザーの膨大な情報をどうするかという問題には、主に2通りの解答がある。一つは全て消去してしまうというもの。これによりプライバシーは守られるが、Googleの利益は大損害を受ける上に、Googleのサービス自体が便利でなくなっていく。もう一つの方向性は、もっとサービスを便利にしつつ、さらにユーザーのプライバシーにまで入り込むことである。

 答えはその中間にあるべきだろう。かつての銀行も中道を取った。状況も変われば方向性も変わるだろう。そして、金融業界もビル・ゲイツも証明するように、市民による監視はGoogleの経営陣に対する挑戦でもある。彼らはどのように提訴するかを考えている。

 一つの方法は、Googleの信用度を高めることによって市民を安心させることだろう。Googleが扱っている方法論の透明性を高める必要がある。「私は善人で、良いサービスを提供しているのだから、私の考えていることまで詮索する権利は社会にない」という言い訳はもはや通用しない。Googleは資本主義のツールである。しかも便利な。自ら破滅を招くような陳腐なスローガンに踊らされるよりは、来るべき嵐に備えようではないか。


【英語表現】

・miff:むっとさせる

・bandwidth:周波帯域

・cocksure:(形容詞)自信過剰で

・guff:(イギリス俗語)バカ話

・altruism:利他主義

・onus of proof:挙証責任

・That said:(間投詞的)とはいうものの、

・present one’s case:裁判所に提訴する

・allay:やわらげる

・trite slogan:陳腐なスローガン

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