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今週のThe Economistより  ]

2007.08.18 南アフリカが有能なエイズ対策役員を解雇

2007.08.18 南アフリカが有能なエイズ対策役員を解雇

南アフリカのムベキ大統領が、厚生相のマドラーラ氏を罷免しました。
マドラーラ氏はエイズ対策での功績がある人物であったため、今後南アフリカではエイズ問題がさらに悪化するのではないかとの懸念が広がっています。

以下、Leadersを要約します。

【日本語要約】
数年前まで、南アフリカ政府がろくにエイズ対策をしないことを責めるのは簡単だった。この国はエイズ万円の中枢であるからだ。エイズ死亡者で墓は埋まり、毎日1000人もの人がエイズで死亡する国である。しかもその多くは若者だ。人口の12%に当たる500万人がHIVに感染している。政府の対応はひどいもので、エイズ問題そのものを否定したり、西洋医学がその効果を証明した薬を使わせずに食事療法をさせたりしている。厚生相は最近、にんにくやレモンジュースやアフリカポテトを食べることがエイズに最も有効かもしれないとまで言った。

2003年になってようやく、真っ当に見えるエイズ対策が公表された。最たる功績は、抗エイズ薬を患者に供給し始めたことだ。エイズは治らないが、生存期間を延ばし、他人への感染率を低くできる。正しい知識を広めることにも貢献するだろう。ムベキ大統領はいまだに、HIVがエイズを引き起こすことを認めたがらないが、大統領に対する強い非難はいったん和らいだ。

しかしここで謎が浮上する。Manto Tshabalala-Msimang厚生相は長くその地位にいるものの、病気がちでほとんど仕事ができず、エイズ問題にも反応が薄い人物だった。それとは対称的に、氏の副官であるMadlala-Routledge氏は問題にもよく通じており、エイズ対策に活動的だった。
そのMadlala氏が解雇されたのである。
無能な大臣を解雇することを拒んできたムベキ大統領は、変わりに有能な人物を解雇したのだ。その理由は、「政府の意思を尊重しなかった」こととされている。

ムベキ大統領は解雇すべき人物を間違った。大統領が昔から贔屓にしているTshabalala氏を現職においておく限り、氏はお荷物でしかない。それでも大統領は、能力よりも忠誠心の方が大事だと言っている。しかも、エイズ対策には大いに貢献していると豪語している。ちなみに今回の解雇の理由は、Madlala氏が “大統領の意思に反してスペインのエイズ会議に行ったこと” である。

確かにMadlala氏は攻撃的だった。病院にアポなしで訪ね、その惨状を大衆に伝えた。ムベキ大統領やANC(African National Congress)のメンバーにとっては、こういった行為は民主的ではなく、ただの無規律・反逆でしかなかった。ムベキ大統領などは、エイズ問題を秘密裏に話すことを好むからである。

問題は、今回の解雇がエイズ対策に及ぼす影響である。確かに今回の対策はMadlala氏が一人で作り上げたものではないが、非常に影響力があった。大統領の意向に逆らってまで、この難しいエイズ問題に自発的にリーダーシップをとろうとする人はほとんどいない。そもそもムベキ大統領自身がリーダーシップを取るべきなのだ。今回の解雇は、人民にも、政府にも、大統領の評判にも、何も良いことをもたらさなかった。


【解説】
文中に、「ムベキ大統領はいまだに、HIVがエイズを引き起こすことを認めたがらない」とありますが、これはムベキ大統領がこれまでずっと「エイズの原因はHIVではない」と言ってきたからです。「HIVよりも、エイズ対策訳であるアンチレトロウイルス薬の方が危険だ」とも言っています。ムベキ大統領が “南アフリカ版の否定論者 Denialist”と呼ばれているゆえんです。しかもこの言説が大衆にまで広まっているため、さらに悪循環になっています。
アフリカでは他にも、エイズにかかっても処女とセックスすれば治るという異常な迷信まで蔓延しているため、幼女へのレイプの増加やそれによるエイズの拡大などが問題になっており、如何ともしがたい現状です。
そのような現状で、エイズ問題に対して活動的な人物を解雇することは悪政でしかありません。

【英語表現】

・undiscipline:無規律

・candor:率直さ

・behind closed door:秘密裏に

・bode ill for〜:〜の悪い予兆となる

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