2007.08.11 テクノロジーが変える、英語の「昔ながらの表現」
2007.08. 11 使い古された表現はつまらない。今では、間違ってさえいる。
今週のLeadersにあるこの記事は、ニュース性はないのですが、英語の学習者にとっては「単語集」にもなる便利な記事です。「英語の慣用表現は、今では使えなかったり、間違ってさえいる」というものです。
記事の1文につき1つか2つの慣用表現が使われており、大変勉強になります。この記事を書いた人々は半分以上「ことばあそび」を楽しんで書いたのでしょう。日本語訳も載せておきますが、この記事は英語で読んで初めて味の出る記事です。是非、原文を楽しんでください。
【日本語要約】
テクノロジーは常に言語の先を行っている。最新版のオックスフォード英語辞典には、動詞としての”Google”という単語や、”wiki”, “mash-up” などの単語が堅苦しい表現で載っている。しかし使い古された慣用表現もいまだに辞書に載っている。実際、そういった表現は「言葉の化石」として機能している。勤勉な人でもいまや「蛍雪」の光で勉強したりはしない。火打石が博物館に飾ってある今日でも、「火打石の火花のように一瞬の」成功者は今でもいる。マストが今や金属に取って代わった今でも、「マストに旗を打ち付ける(旗印を明確にする)」という表現は残っている。
このように、テクノロジーの時代にあっては、慣用表現はその語源からかけ離れてしまうことが多々ある。隠喩的な慣用表現は郵便物にはよく見られるが、実際にはほとんど使われない。オンラインでカードゲームをする今日、「カードを見せないように」したり「袖の中に必殺カードを隠」したりすることの意味はない。オンラインで本を買える今日、他の読者からの批評をあらかじめ読めるので、「表紙だけを見て」中身を判断することも可能になっている。携帯電話やSMSが発達した現在、「眼中にない」ことは必ずしも「無視している」ことを意味しない。そしてiPodが普及した今、「音程を正しく運ぶcarry a tune(音痴ではない)」ことは誰でもできるようになった。
昔の常識の多くが今では通用しなくなっている。通貨が変動する今、「ドルは万能」ではない。名前が多様化した今、「Tom, Dick and Harry(訳注:太郎、次郎、三郎に相当)」は「一般の人々」を代表する名前ではない。今では Kevin, Chloe, Muhammadなどが代表例となるだろう。貿易の様相も変化した。EUは中国のお茶よりも、中国で作られるブラジャーやガウンに怯えている。今やどこの海岸もゴミで溢れており、”the coast is clear”ということはない。現在のオリンピックで、「オリンピックの神々のように」落ち着いた選手を見つけるのは難しいだろう。
昔とは意味が逆になった表現もある。「新しいワインを古いボトルに入れる」ことは今ではむしろ好まれる。「工場からの煙」は、昔は栄華の象徴だったが、今では排出権コストの象徴でしかない。「探し場所」を意味する狩猟場は、今では少ない。法のおかげで、「1ポンドの肉を要求」したり「1インチずつ進」んだり、「10フィートの高さに」なったりすることもできない。
古風な表現は必ずしもムダではない。人々は未だjump on the bandwagonやread the riot actなどの表現を使う。その意味さえ明確であれば、現在でも使用は可能なのだ。
問題は、テクノロジーが昔ながらの表現からその実体までも奪ってしまう場合である。たとえば、失恋して振られた人に「もっと他にいい人がいるよ」という意味で “There are plenty more fish in the sea” と言うことがある。しかしこれは間違いだ。既に海の魚は大量に獲られている。「どんなことにも旬ってものがあるんだよ」というのは真実に見えるが、遺伝子組み換え技術が発達した今、それも間違いだ。「カメラはウソをつかない」という表現も、PhotoShopならこう語るだろう、「レンズは、光を歪めるよりも簡単に真実を歪める」と。「ロケットサイエンス」は、昔は「難解な理論」の象徴であった。しかし、誰でも宇宙旅行をすることが可能になりつつある今では、そのイメージも廃れている。「美しさは皮一枚」という表現には、シリコン技術を有する整形美容師なら笑い飛ばすことだろう。トランスジェンダーの人々にとっては、「ボブおじさんがついてるから大丈夫」という表現も奇妙に映る。
教訓?「昔ながらの表現」は既に昔ながらの意味を持たないということだ。
【英語表現】
・burn midnight oil:夜遅くまで仕事や宿題をすること。
ここでは「蛍雪の功」と訳してみた。古い表現なので。
・nail one’s colors to the masts:旗印を鮮明にする。意見を最後まで固守する。
・keep one’s cards close to one’s chest:手の内を見せない。(トランプから来た言葉)
・ace up one’s sleeve :袖の奥に隠してある、トランプのエース。奥の手。
・judge something by its cover :見かけだけで判断する。
・out of sight :見えないところにある
・carry a tune:正しい音程で歌う。
・almighty dollar:金の威力
・Tom, Dick and Harry :「一般人」を表現する言葉。
・”The coast is clear”:「邪魔者はいない。上陸するなら今だ」という、密入国者の言葉。
・Olympian :「堂々として落ち着いた」という形容詞。「オリンポス山」を語源とし、オリンピックと同語源。
・exact a pound of flesh:「借金の返済を強く求める」。『ベニスの商人』でアントニオがシャイロックから借金の代わりに1ポンドの肉を求められることから。
・feel ten feet tall:有頂天になる
・jump on the bandwagon:人気のものにあやかる。時流に乗る。
・read the riot act:きつく叱る。
・burn the candle at both ends:忙しく働く。
・keep irons in the fire:いくつもの仕事を手がける。
・rocket science:「難解な理論」の意味もある。
・paragon:典型
・be poised to :〜する準備ができている
・go ballistic:急上昇する
・”Bob is your uncle”:(間投詞的に)「大丈夫だよ」。古い表現。
・auntie:ホモの蔑称。