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今週のThe Economistより  ]

2007.07.27 地球規模の少子化とその対策

2007.07.27 地球規模の少子化とその対策
How to deal with a falling population

今回のカバーニュースは「少子化」

かつて「人口爆発」が盛んに叫ばれたのも今は昔。
現在では、日本のみならず世界中で人口増加率の減速が見られます。
「人が増えすぎる」という問題は、今や「人が減っていく」という、全く逆の問題に取って代わりました。

少子化問題に関しては Foresight でも「少子化を止めろ」という連載がなされており、参考になります。

The Economistは世界的な少子化傾向に対してどのような意見を持っているのでしょうか。
以下、Leadersを要約します。

【日本語要約】
通常、菌をペトリ皿で培養すると、その数はS字カーブを描いて増える。
最初はコロニーが成長しないのでその数は少なく、平坦なグラフを描く。
その後、菌は急激に増殖し、それは変曲点に達するまで続く。
最終的にはコロニーの成長は止まり、カーブは再び平坦になる。

菌が過密状態だったり、栄養が不足していたりすると菌は増殖できない。
人間の人口増加曲線に同じ原理を適用できるかどうかはわからないが、そのパターンは似ている。
何千年もの間、地球上の人口はほとんど変わらなかった。
産業革命後、その数は爆発的に増え、20世紀の間に人口は約4倍になった。

人口は今も増え続けているが、グラフは変曲点に達しているように見える。
(無論、それが正確にいつなのかはわからない)
人口増加の割合は縮小してきている。
多くの国で、女性が生む子供の数は、人口を維持できる数を下回っている。
9人中4人の人が、置換率を下回っている国に住んでいる。
[訳注:置換率とは、死亡する人に対する新たに生まれる人の比。死亡する人より新生児の方が少なければその国の人口は減り続ける]

昨年の国連の発表によれば、2025年には世界の平均人口増加率は置換率を下回る。
人口統計学者によれば、2050年までには地球上の人口は100億をピークにして下がり始めるとされる。

人口予測が過去数年で変化したことに伴い、人々の姿勢も変わってきた。
1970年代から1980年代に世界中を襲った「人口爆発」パニックは、今やまったく別の不安に取って代わられている。
「人口が減り始めている」


地球上には人が多すぎると考える人にとっては喜ばしいことである。
しかし、「何を基準にして」多すぎるのか?
マルサスが唱えた破滅への道を指しているわけではあるまい。
人類は、地球の一次生産量のわずか1/4しか占有していないのである。
この量は確かに多いが、食いつぶすほどではない。

生存のための原材料は、実質的には価格が下がっており、その量はむしろ増えていると言えるのが現状である。
人口減によって文明が脅かされているという説も現実味がない。
現実的には、人口は急激に減るわけではなく、ピークに達したあと緩やかな減少を描くだけだ。

ならば、政府は落ち着いて事態を眺めていればいいのだろうか?
そういうわけでもない。
人口減に対応しなければならない地域は、少なくとも3つある。
一つはドイツからロシアにかけての中東ヨーロッパ。
次に、地中海北部。
最後に、日本と韓国を代表とした、一部のアジア地域である。

20代の独身労働者を想定してみよう。
日本では、この労働力は向こう10年で20%も減少する。
多くの知識と技術が失われる。
現在、定年退職者1人を4人の労働者が支えている計算となり、このままでは年金のシステムも維持が困難だ。
2030年までには、日本とイタリアは「定年退職者1人に対して2人の労働者」という計算になる。
ロシアでは、若者の減少が原因で徴兵制度を変更する動きまである。
日本のある村では、人口減があまりにもひどくて、村ごと産業廃棄物埋立地に転用することを望むところまである。


国民に対して子供を生むよう推し進めることは政府の仕事ではない。
もし女性が20代を子育てではなく趣味をして過ごしたいと思うなら、それはその人たちの判断であって、政府の問題ではない。
しかし人口減の問題にどう対処するかは、政府の仕事である。

現在、多くの政府が採っている少子化対策は、社会の変革を促す好ましいものである。
少子化に対応する最も効果的な方法は、国民がもっと長く働けるような環境を整備することである。
年金の受給開始年齢も引き上げざるを得ない。
定年退職の時期も同様である。
これらによって、社会が働ける人をみすみす逃してしまうこともなくなるし、会社としても有能な人材を退職させないでよくなる。
日本に代表されるような年功序列的な給与体系も、もっとフレキシブルな体系に変更すべきである。
移民をもっと受け入れることも労働力不足に貢献する。
(ただし移民程度では、必要な労働力をまかなうことはまず無理なのであるが。)
また、女性にもっと働きやすい環境を用意し、父親にも育児休暇が取れるようにすれば、労働者と年金受給者のバランスも改善する。

これらの対策は、おもしろい「副次効果」を持っている。
アメリカと北欧はかつて同様に少子化に直面していたが、今では人口は増加している。
これは移民だけが原因ではない。
両親が仕事をしやすい環境を用意したことが大きく貢献している。
当初、労働の効率化や男女平等を掲げて採られたこれらの政策は、結果的に少子化を防ぐ効果を持っていたのだ。

伝統的な社会が近代的な経済を導入するとき、人口は減る。
日本とイタリアが好例だ。
仕事と育児を両立できる社会だからこそ、女性はどちらも成し遂げようとするのだ。

【解説】
The Economistにしては意外と単純な分析と結論だったので、逆に興味を持ってしまいました。
「年功序列をやめてもっとフレキシブル(≒成果主義型)にせよ」と提言されていますが、この点に関しては10年以上前から日本で議論されており、少なくとも西欧的な成果主義を日本に直接移植することは難しいと判明しています。
具体的に「どのように」フレキシブルにすべきかという論が、本筋からずれるので詳述しなかったのでしょう。



【英語表現】
・appropriate
他動詞の用法があり、「〜を占める (account for)」の意味。
本文中では
Mankind appropriates about a quarter of what is know as the net primary production of the Earth
(人類は地球の正味の生産量の1/4しか占めていない)
という形で使われています。
それにしても、このPolitically Correctの時代において、Mankindという言葉を見ることができるのは新鮮です。

・in real terms
「実質的には」

・with equanimity
「落ち着いて」
ちなみにこのフレーズを含む文は、平叙文に「?」が付いている珍しい文です。

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