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今週のThe Economistより  ]

2007.07.07 ミレニアム開発目標:希望か、絶望か

2007.07.07 Global poverty: Are we nearly there yet?
Mid-way through, the UN's drive against poverty remains half crudsade and half charade


今年は、2000年に国連が提唱したミレニアム開発目標(MDGs)の期限である2015年のちょうど中間に位置します。
この目標は達成できるのか。

The Economistは、「ただの金銭援助では解決できない。貧困国の自助努力を促す援助を」と主張します。

以下、Leadersを要約します。

【日本語要約】
「貧困を過去のものに」「貧困を半減させよ」
これはミレニアム開発目標(MDGs)のスローガンである。

2000年に国連が打ち出したMDGは、多くの目標を掲げている。
・出産で志望する母親の数を3/4減らす
・安全な水が飲めない人の数を半減させる
・乳児の死亡を1/3減らす
など。これらを2015年までに成し遂げようというのだ。
今月はちょうどその中間地点(07年07月07日)となった。

確かに2000年のサミットは魅力的だった。
北朝鮮でさえ参加しようとしたのだ(失敗したが)。
しかしその目標は、過去に何度も使い古されたものだった。

1980年代には一般大衆に清浄な水を提供するはずだった。
1990年代までには全ての人に教育を提供するはずだった。
どちらも失敗した。

本当にMDGは信頼に足るのか?

確かにMDGは非常に怪しいものである。
しかし、多くの組織を動かしたのも事実だ。
世界銀行は先月、320億ドルの拠出を発表した。
IMFでさえMDGを尊重している。
MDGがなければ動かなかった政府を動かしているのだ。

しかし、MDGはその本来の役割を果たしていない。
数値目標を調べるための、信頼できる指標を提示していないのだ。
これでは各国の政府が出す数値を合算できない。
中国は目標よりも10年早く貧困半減目標を達成したと発表した。
サハラ以南のアフリカ諸国は、急速に経済成長しているにもかかわらず全ての目標を達成できないと言っている。

一部の目標は計測不能という事情もあるだろう。
マラリアで死ぬ子供の数を数えている貧困国は少ない。
そもそも、数えられるものが重要とも限らない。

貧困は一部の者の責任ではない。
貧困国は富裕国に対してさらなる援助を求めることができる。
富裕国は、さらなる援助に値する政治改善を求めることができる。

一部の人は、ただお金だけが必要と言う。
しかしそれは違う。
多額な援助が必ずしも良い結果を生むとは限らない。
また、良い結果を生むために多額な援助が必要とも限らない。

ブラジルはスリランカより4倍も裕福だが、子供が5歳になるまでに死ぬ確率は2倍も高い。
これは衛生上の習慣の問題であり、トイレの建設や医者の派遣よりも重要である。
他国に頼らない、自国で達成・維持可能な改革が求められている。

MDGは達成できるのだろうか?
ワシントンのシンクタンクは、「援助国は”改善の成果に支払う”という原則を作るべき」と主張する。
つまり、援助は貧困国が何らかの改革を実行し、結果が出てから払われるべきだというのだ。

たとえば、貧困国のこどもが初等教育を終えた時点で、一定以上の識字レベルを習得した子供全員に100ドルを配る、などである。
これは大きなインセンティブになる。
貧困国に、この程度のお金がないとは言えないし、
富裕国は、結果が出ていないとも言えない。

援助は必ずしも貧困を解決しない。
援助国はそのことをわきまえるべきである。
しかし、自らの努力で貧困から抜け出そうとしている国への援助は欠かしてはならない。
それが、これまで貧困を解決してきた国すべてが通った道なのだから。

貧困を過去のものにするために、過去を知る必要があるのだ。


【解説】
いたずらな援助は貧困国のためにならない、
むしろ彼らの自助努力に対して援助をすべきだ、という
The Economistの姿勢は日本のスタンスと合致します。

日本は債務国への債務帳消しを渋っていることで他国から批判されることがあります。
これは、日本がケチだからではありません。
(帳消しにできるほどのお金は余裕であります。国債に比べたら塵のような金額です)
それは、安易に貧困国にお金を供与することは、彼らの自助努力のインセンティブを殺いでしまうと考えているからなのです。

無論、この記事の最後でも示唆されているように、
そもそも自助努力が不可能なほど貧困に悩む国もありますので、
そういった国への援助は欠かしてはなりません。

どういった国にどのような援助をすべきなのか(たとえば中国への援助は必要か)、という基準について、もう少し触れられていると良かったと言えましょう。


【英語表現】
・the UN’s drive against poverty remains half crusade and half charade
冒頭より。
crusadeとcharadeの音韻がかけられているのが良い。
half〜の表現は、以下の”Halve Poverty”および”half full, half empty”、それに今回の会議が締め切りまで残り半分に迫っていることにかけられている。

・Make Poverty History
「貧困を過去のものに」
有名なスローガン。

・Halve Poverty
「貧困を半減させよ」
halveという動詞はなかなかお目にかかれないが、便利な表現。

・convert campaign slogans into bankable pledge
「ただのスローガンを確実な誓約に変える」
bankable pledge と convertの表現が便利。
convertは、似た表現がケネディ大統領の演説にも使われています(”convert good words into good deeds”:「言葉だけでなく、実行に移してこそ善」)

・bigwig
「大物」

・old hat
「使い古されたもの」

・great unwashed
「一般大衆」
ここでは、「清潔が水がない」こととかけられている。

・fraternity
社交クラブ。ここではaid fraternity(援助国クラブ)という言葉で使われている。

・what is measured is not always what counts
「測定可能だからといって重要というわけではない」
measure と countをかけている、おもしろい表現です。

・latrin
トイレのこと。あまり聞かない表現ですね。

・custodian
「管理人」

・inch
「少しずつ前進する」(動詞)

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