まず、「中立的に事実のみを伝える」と言っても、 “どの事実を報道するか”を選択する過程で出版社の判断が入っています。
つまり本当の意味で「中立」ではないので、偽善的と言わざるを得ません。
読者は「この記事の裏には何があるのだろう」と不安になるのです。
署名記事だったとしても、その署名をしている記者の背景がわかることはまずありません。
逆に、「この出版社はどのような政治的立場を取っているのか」が常に明確になっているとしたら、読者はどう思うでしょうか。
「なぜこの事件を選んだのか」「なぜこのような主張をしているのか」が読者にもわかりやすくなり、
より客観的に記事を読むことができるのです。
このような理由により、
The Economist に署名記事はありません。
編集長の名前さえ書かれていません。
これは、「個人」ではなく、「The Economist」としてのブランドとスタンスを重視しているからです。
一つの雑誌の中で、記事によってスタンスが異なる(記者が異なる)ということはないのです。
次に、
「事実」だけならインターネットなどで簡単に手に入るようになっていることが挙げられます。
事実自体が報道価値を持っていた昔とは異なり、現在は情報過多の時代です。
読者は「事実」の先にある「知見」を求めているのです。
「この事実から何を学ぶべきか」
「この事実は将来の何を暗示しているのか」
そういったことを、The Economist は論理的に主張しています。
実際、この方針を取ったThe Economist や Independent などのジャーナルは、インターネットの普及にもかかわらず売り上げを伸ばしています。
しかも、
読者は The Economist の支持者ばかりではありません。
アメリカではコンサーバティブな風潮が広がっているにもかかわらず、リベラルなThe Economist が多く売れています。
なぜでしょう。
これは、たとえ The Economist の意見に賛成できなくとも、考えるヒントとして重宝するからと言えます。
自分で意見をゼロから作るより、何かに反論しながら自分の意見を構築するほうが容易なのです。
論理的な文章は、反論もしやすいため、The Economist は人気があるのです。
(感情的な文に「反論」できませんからね)
The Economist のスタンスは
The Economist の政治的立場 を参照ください。
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