山形浩生氏は、COURiEER Japon での連載初回において、The Economist の良さを次のように指摘しています。
(1) 国際経済、政治、文化、思想、科学まで、あらゆる分野をカバー
(2) 自らの立場と主張をきちんと分析し、提示してくれる
(3) 自らの主張に誤りがあった時には、それをきちんと認める
(4) それぞれの記事が簡潔・明瞭で、かつ洞察が深い。
以下に、記事の一部を引用します。
<最高品質の国際誌を読むにはそれなりのリテラシーが必要だ>
恐らく世界中のビジネス・エリートたちに最も信頼されている雑誌「エコノミスト」。
あっけないほど簡潔で明瞭な記事に潜む、深い洞察とユーモアを読み解いていこう。
イギリスの「エコノミスト」誌は、世界唯一無二の本当の意味での国際総合誌だ。定期購読を勧める折込はがきには、しばしば「この人も定期購読者です!」とビル・ゲイツを始め各種の有名人が挙がるが、この雑誌を読んでいること自体がその人の見識を示すとすら言える。
本書をビジネス雑誌(特に日本の業界ゴシップと経営者自慢話集)と思ってはいけない。
国際経済。政治。経済学理論の新潮流。文化。思想。科学。記事はあらゆる分野に及ぶ。
しかもそれぞれが深い。
現代物理学のM理論の新展開や行動経済学の最新論文、ムガベ大統領の暴君ぶりからハリポタの最新巻まで、採り上げないものはないといってよく、その全てが実に簡潔ながら明快でおもしろい。
そのおもしろさは、同誌が自分の立場と主張を持ってきちんと分析を提示してくれるからだ。
たとえば先日、国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルが採りあげられた。最近のかれらはやたらに欧米の人権侵害批判ばかりに血道をあげる。でもそれは北朝鮮や中国での弾圧に比べればセコい話ばかりでは? 最近の彼らは本来の目的から逸脱していないか?
重要な指摘だが、立場のない(ことになっている)日本のメディアは、何か事件が起きないと記事にできず、こうした指摘もしにくいのだ。
そしてその立場も明快。人権や社会的公正は重視するが、そうした議論でも感情論に走らず、経済効率と合理性と理論的裏付けを優先させる。
もちろん例外はある。最近の日本銀行に対する。最近の日本銀行に対する根拠レスなヨイショぶりは、調整インフレ理論に対する不可解な歪曲(ポール・クルーグマンがわざわざ投書欄で苦言を呈したほど)と共に理解に苦しむものだ。
だが、それが際立って目立つこと自体が、他の部分のレベルの高さを如実に物語る。そして立場が間違っていたときは(たとえば米軍のイラク侵攻支持)、それをその後の記事の中で何度もきちんと認めるフェアな態度もポイントが高い。